なつみかん。

アニメを見て気が向いたときに聖地巡礼しています。

Appleのデザインコンセプト



普段は買わないデザイン誌「AXIS」を買ってみました(2006年10月号)。

メインの特集は「21世紀のインダストリアルデザイン」ですが、お目当てはトピックスの「アップルコンピュータ ジョナサン・アイヴ インタビュー」。アップルのインダストリアルデザイングループ担当上級副社長である彼に聞く、MacやiPodなどアップル製品のデザインについての興味深いお話です。

ネジの一つ一つまで


1992年にアップルに入社し、1998年の初代iMac以来多くのアップル製品のデザインを手がけてきたアイブ(とデザインチーム)ですが、ネジの一つ一つまでデザインするといった驚くほど細部にまでこだわりを見せる姿勢はその頃から変わらないようです。

例えば、MacBookについて。

ラッチ(掛け金)なしにマグネットで閉まるようにしました。片手でシームレスに開けられるようマグネットの力のバランス、そして閉まる時の音まで検討を加えました。


究極にシンプルに


MacだけでなくiPodやディスプレイ、リモコンなど、多様化してきたアップルの製品群にどうやって一貫性を持たせているのか? という質問に対しては、

デザインマニュアルのようなものはありません。(中略)しかしフィロソフィーがある。ナイーブに聞こえるかもしれませんが、究極にシンプルに、最良のものとして製品をつくるというフィロソフィーです。


Mac本体もiPodも、見た目はかなりシンプルながらも非常に機能的なデザインですが、決して「カッコイイから」とか「売れそうだから」という発想ではないのだと思います。

新しい製品をつくる際には、それに足る確固とした理由がなくてはいけません。


デザインしているのは経験そのもの


そして、単純に見た目のシンプルさを追求するだけではありません。

かたちのうえだけのシンプルさではなく、製品として、アーキテクチャー全体としてシンプルにする。まるでデザインされていないかのように、複雑な問題などなかったように、静かにアノニマスな方法で解決するのです。


「ネジまでデザインしました。どうだカッコイイだろう」といった製品が自己主張するためのデザインではなく、あたかもデザイナーが関わっていないかのような、自然でさり気なく機能的なデザイン。Macのディスプレイも「主役は画面です」と言わんばかりのシンプルさですが、全ては画面上にあるもの、メールやブラウザやiTunesを引き立てるためのデザインなのでしょう。「それが最も難しい」とも仰っていますが。

製品をデザインしながらも、自分の存在が忘れ去られるかのような、あるいは製品そのものが周りに自然に溶け込むようなデザインこそ至上のものと考えている。アイブ率いるアップルのデザインチームは何をデザインしているのか…もちろん製品を作っている事に代わりはありませんが、それは「工業製品をデザインしている」ということを超えて、それを使っている時の経験そのものをデザインしている、と言った方がより正確でしょう。

現実的に解決してきたデザインもありますが、かたちにならない方法で達成してきた事がもっとある。(中略)だが基本的には物体を超えたものをデザインしているということなのです。


例えば、iPodはどんなに曲が入っていてもいつでも好きな曲に切り替える事ができます。とてもスムーズに。Macのマウスは横から見ても卵形で、確かに半球型より持ちやすい…など、外見ももちろんクールですけど、この快適さこそ彼らがデザイン(設計)したかったものなのでは。

ソフトウェアからハードウェアまで


そしてアップルの強みは何と言っても、iPodだけではなくiTunesやiTMSなど、ソフトウェアからハードウェアまでを一貫して作っている(デザインしている)ことです。

アップルがユニークなのは、経験の全てをデザインしているということです。(中略)われわれが扱っているのは、システム全体であり、個々に孤立した製品のデザインではないのです。


これは他社にはなかなか真似できないことで、アップルのデザインに対する姿勢を表す奥深い言葉だと思います。デザインというと見た目の話かと思ってしまいがちですが、iPodなどの見た目のクールさは氷山の一角に過ぎないということ。CDからMP3(AAC)に変換してiPodへ転送、あるいはiTMSで好きな曲を選んで買ってiPodへ転送…という作業はごく自然に流れるようにできてしまいますけど、その快適な音楽生活こそまさにアップルがデザインしたもの…と言えるでしょう。

もちろん、どれも単に工業製品として見ても非常に優れたデザインで、理想を現実にしていくための新素材の研究などにも余念がないわけですが、その上で「デザインしているのは製品ではなく、経験です」と言えるところが最高にクールです。

わずか6ページの特集ですが、そこにはデザインやもの作りなどの本質が凝縮されているように思います。他業種であってもその姿勢はぜひ見習いたいものです。

1500円とやや高めですが、マカーなら永久保存版と言えるでしょう。他に「火箸風鈴」を作る職人さんの特集やセマンティックウェブの話もなかなか興味深かったです。よろしければ書店で手に取ってみて下さい。

AXIS (アクシス) 2006年 10月号 [雑誌]
AXIS (アクシス) 2006年 10月号 [雑誌]

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