涼宮ハルヒがWeb2.0にされる憂鬱
2006.07.09 Sunday
涼宮ハルヒのWeb2.0的成功要因分析、ウルシステムズ(ITmedia News)
同番組は独立UHF放送局だけで放送されたのだが、一部の熱狂的なファンがブログなどを通じてネット上の口コミ活動を開始し、同時にYouTube上で違法ながらもコンテンツが流通したことで、従来ならリーチできない範囲にまでファン層を拡大した。また、公式Webサイトの制作コンセプトにも独自性があり、この独自性ゆえに、ユーザーが「涼宮ハルヒの憂鬱」関連のコンテンツを生成するというバイラルネットワーク(口コミによるネットワーク)が生じたと中村氏は言う。
…そこ、笑っていいぞ。(©キョン)
このコンサルタントの方の
講演が微妙だったのか、あるいはこの記事の
まとめ方が微妙なのか良く分かりませんが、これを読んだ多くの人は
「お前、Web2.0って言いたいだけちゃうんかと。」
と思ったのでは。この記事は
釣りの可能性もありますが、全力で釣られてみます。
ネットは確かに一役買った
YouTubeにEDや本編が違法ながらもUPされたり、あちこちのブログで1話ごとに詳細な分析がされたりなど「涼宮ハルヒ」の普及にネットが一役買った、いや
三役ぐらい買ったのは間違いありません。DVDの第1巻(Episode00)限定版の売上は
4万8千枚とアニメDVDとしては異例の数字を記録、原作のライトノベル版や関連CDは連日Amazonやオリコンの上位を占拠しており、これは誰がどう見ても成功と言えるでしょう。某掲示板でのスレの勢いも尋常ではありませんでしたが、とりあえず「YouTube」とか「ブログ」というキーワードが含まれていれば「Web2.0」になるみたいです。
ではネットが無かったとしたら、あるいはYouTubeやブログが無かったらアニメ版「涼宮ハルヒ」はここまで人気が上昇しなかったのか? と考えるとそれは違う気がします。普及のスピードは若干遅くなったかもしれませんが、確実に「何かとんでもないクオリティのアニメが放送されてるらしい」と話題になったと思います。
公式サイトの独自性
「公式Webサイトの制作コンセプトにも独自性が〜」とか横文字を羅列されると意味が分からなくなりますが、要は
「一見やる気の無い、手抜きとしか思えない素人っぽさ全開のデザイン」ということです。あなた方もよくご存知のはず…(©カグヤ@MUSASHI)。
ではなぜ手抜きに見える作りなのか? それは奇をてらったわけでもネットで話題になる事を狙ったわけでもなく、原作で
「HPなど作った事も無い高校生が、ハルヒに命令されて活動内容不明の部活のHPをイヤイヤ作らされた」ことを忠実に再現したためです。この手抜きにしか見えないHPを見て「このアニメは駄作だ」と思った人もいるかもしれませんが、原作既読者としてはこのサイトを見た瞬間に
成功を確信しました。さすが京アニ、原作を深く読み込んでそれを忠実に再現しようとしている…と。実際の放送は
予想以上のクオリティでさらに度肝を抜かれましたが。
緻密な作り込み
もちろん公式サイトだけではなく、1話ごとにその
緻密な作り込みは話題になりましたが、それらもあくまで原作を忠実に再現しようとした結果に過ぎません。「一部の熱狂的なファンがブログなどを通じてネット上の口コミ活動を開始」したのはなぜか? それは例えば長門の読んでいる本が実在の本だったり、長門の書いたプログラムが実際に実行できるものだったり、長門の(以下略)…など、普通では考えられないほど
高いレベルで映像化された涼宮ハルヒの世界を分析せずにはいられなかったためです。ちょっと変わった趣向で作ってみました、ぐらいではここまで話題になる事はなかったと思います。例えば
「ぱにぽにだっしゅ!」はコネタやパロディが
ありえない密度で凝縮されてはいましたが、さすがにハルヒほどは話題にならなかった気がします。当時YouTubeはありませんでしたが、ブログは十分に普及していたわけで。
あと、これもYouTube以前の話ですが、ハルヒと同じ京アニの
「AIR」は放送局がBS-iということもあり、ネット上では一部の人だけが盛り上がっていたという感じでした。しかし売上は
17万枚以上と
2005年アニメDVD第2位。これはTVアニメなのにまるで
劇場版のようなクオリティと、
原作の雰囲気を全く損なわずに映像化されたことが原作ファン以外にも高く評価されたためだと思います。
AIR 1 初回限定版
良いものは売れるし、そうでないものは売れない
さて、ところでアニメの人気やDVDの売上UPにYouTubeやブログは必須なのでしょうか。「Web2.0」とかいうバズワードを持ち出さなければ説明できないほどオタクの行動は複雑なのでしょうか。これはこうやって長々と書くまでもなく、多くの人が理解していることです。つまり
「良いものは売れるし、そうでないものは売れない」という、ただそれだけの事実。これはWeb2.0だろうが3.0だろうが変わらないことだと思います。そしてモノ作りをしている人は「どうすれば話題になるのか」ではなく
「どうして話題になったのか」を考えてほしい。
京都アニメーションという制作会社はなぜここまで作り込むのか、もちろんそこには高い技術力や優れた感性も発揮されているわけですが、それ以前に
他ではあり得ないほど原作を尊重するというその姿勢こそ学ぶべき事だと思う。原作を映像化するにあたって必要な要素は何か…をいかに深く考えて制作されているか、それは「ハルヒ」や「AIR」や「ふもっふ」などを見た人なら分かるはず。あの丁寧な仕事ぶりはアニメ関係者でなくとも見習いたい所です。
ところで
ハルヒが話題になってる理由としては、なぜか
「ツンデレ」(ハルヒ?)
「メガネ」(長門?)
「メイド」(みくる?)というキーワードも挙げられますが、いずれも的外れで本質的な理由ではないと思います。強いて言うなら、萌え要素があったから人気が出たと言うのであればまず
長門有希を挙げるべきではないでしょうか。そして
ちゅるやさん。ハルヒ以前に
この2人は外せない、と強く主張しておきたい。めがっさにょろにょろ。
関連
| アニメ | comments(10) | trackbacks(3) |




ネタにマジレス(ry
や、うそうそw ここは全力で釣られてイイとこでしょう。
まあ売るシステムズさんとしては、Web2.0的な情報波及の例として、今最も旬のハルヒを採り上げることで「分かりやすさ」を演出したかったんじゃないかと。
「却って分かりづらくなってるんじゃね?」とか「そもそもWeb2.0の概念を履き違えてね?」とかの喋りすぎは命(ry
とネタにマジレスしてみる。
それと俺もこの記事は興味深くて言及してたんでTBさせてもらいました。
| 73 | 2006/07/09 2:18 AM |
TBどうもです。
というか、このコンサルの人が真性アニヲタで
ここぞとばかりにハルヒを取り上げたような気もしてきましたw
…もしそうならGJですけど。
| こうじ | 2006/07/09 2:27 AM |
参考までに俺がハルヒにはまった過程をマジレスしてみる。
ニャー速で「youtube使って最高のアニメOPを決めよう」というスレのまとめを見ていると、そこにハルヒが出てくる。
→その日の深夜にTVKでたまたまハルヒの第4話を見る
→翌日youtubeで1〜3話をまとめて見る
→翌週からテレビで視聴するとともに原作も全巻かってラノベデビューを果たす
→今に至るw
たぶん俺みたいにハルヒから深夜アニメデビューした人は他にもいると思う。
個人的にはこんなすばらしい作品と出会わせてくれたネットに感謝。
| 19歳大学生 | 2006/07/09 11:46 AM |
ウルシステムズといえば、「オブジェクト指向」をキーワードに名前を売ること『だけ』が得意なコンサル会社でしょ。「お前、オブジェクト指向って言いたいだけちゃうんかと。」と言いたくなったことも一度や二度じゃありません。
「講演が微妙だったのか、あるいはこの記事のまとめ方が微妙なのか」という辺りが、彼らの得意分野です。それ以外はめがっさタコです。
「ネットが無かったとしたら」。ファンロードとかあったよなあ……。以前だったらファンロードあたりにハルヒネタで読者からの投稿が殺到して、何度となく特集が繰り返されただけでしょう。あとは同人誌とかイベントとか。
| とおりすがり | 2006/07/09 11:50 AM |
いつか京アニが創るだろう、傑作「涼宮ハルヒの消失」に大期待。「笹の葉ラプソディ」をやらなかったのもこの話に繋げる為だと思いたいです。
| 69 | 2006/07/09 2:21 PM |
>「良いものは売れるし、そうでないものは売れない」
>「そしてモノ作りをしている人は「どうすれば話題になるのか」
>ではなく「どうして話題になったのか」を考えてほしい。」
まったく同感なんですが、ウルシステムズは「物作りをしていない人達」なんですよね。こんな連中が物作りに関して偉そうに御託を並べること自体が間違ってます。物作りに関わるものとしては実に歯がゆい思いです。
忌々しい、ああ忌々しい、忌々しい。
>「メガネ」(長門?)
キョンに「俺にはメガネ属性ないし。」「俺、実はポニーテール萌えなんだ!」とメガネっ娘を否定するセリフを言わしめ、長門自身も話の大半でメガネをかけていないことも知らないんだろうか?
ちなみに萌え属性の有無云々ってあまり意味ないですよね。キャラの中にかわいい女の子の一人や二人を出すのは普通だし、そういうキャラにメガネだのツンデレだの無口キャラだのを当てはめていけば、大抵は何かしらのパターンの一つや二つは当てはまるものです。そうした結果、女性キャラのうち何人かが「萌え属性アリ」となるのは不思議でも何でもありません。
むしろ全員当てはまらない方がすごいかも知れませんね。女性キャラの全員が(男性だけど)メイドガイ コガラシのような豪傑ばかりとか?
| とおりすがり | 2006/07/09 11:40 PM |
>とおりすがりさん
いろいろありがとうございます。
特にウルシステムズについては…やはりそういう会社でしたか。
別にWeb2.0とかラベルを貼るのは構わないのですが、元記事から「何か良く知らない人が首を突っ込んでるな」という印象を受けたので。あとハルヒ人気の最大の功労者は制作会社の京アニのはずなのに、情報の伝播過程だけに注目するのは何か違うなーとも。
| こうじ | 2006/07/09 11:54 PM |
>ではネットが無かったとしたら、あるいはYouTubeやブログが無かったらアニメ版「涼宮ハルヒ」はここまで人気が上昇しなかったのか? と考えるとそれは違う気がします。
ええ。ネットがなくても、人気の“質”(ファンの最大熱狂度)は大きくは変わらなかったような気がしますが、人気の“規模”は今回ほどの大爆発を起こさなかったでしょうね。Webが(Web2.0が、とはあえて言いません)一役も三役もかったのは、あくまでもプロモーションの部分だけだと思うので。とはいえ、規模が巨大化→祭り化→ファンのノリが良くなる→さらに巨大化、というポジティブループで、人気の質も向上していると推測できるので、単純な切り分けはできそうもありません。
もの作りの観点からは、やはり質の高いものを作ることが最重要かと思います。京アニはそれだけにとどまらず、やたらと各所にこだわり、なおかつプロモーションもしっかりフォローしたところが、素晴らしいです。愛を感じます。
#プレゼン(記事)は、せめて「作品の質が素晴らしいことはもちろん、注目すべきはその情報伝播過程で〜」とか、一言断っていれば良かった?
| cartrow | 2006/07/11 1:10 AM |
>cartrowさん
そうですね。質の高いもの × web 、という相乗作用の結果でしょうね。
何かはてブのコメントで「良いものでも知られなければ売れない」みたいなことも書かれてますけど、ではなぜ2006年第2四半期に68本も放送されたアニメの中で、涼宮ハルヒだけが注目を集めたのか?ということを考えてほしいです。他のアニメも多数YouTubeにUPされていたにもかかわらず…。
| こうじ | 2006/07/11 12:19 PM |
まぁこれまでのコメントを要約させてもらうとだな。
めがっさにょろにょろ
ちゅるやさんの為に作られた作品ってことだよ。
| | 2006/07/12 11:53 PM |
この記事のトラックバックURL
http://tangerine.sweetstyle.jp/trackback/542592
トラックバック
[徒然][漫画・アニメ] 涼宮ハルヒのWeb2.0的成功要因分析
ソース:【涼宮ハルヒのWeb2.0的成功要因分析、ウルシステムズ】 ウルシステムズは7月6日、「Web2.0でビジネスに勝つ〜技術の最新動向とビジネス創出〜」と題したセミナーを開催した。Web2.0というキーワードに象徴される情報技術の最新動向を整理しながら、このトレン
| 欲しがってばっかじゃ駄目ですか?@Hatena | 2006/07/09 2:19 AM |
成功に学ぶか失敗に学ぶか
涼宮ハルヒがWeb2.0にされる憂鬱(なつみかん。)
つまり「良いものは売れるし、そうでないものは売れない」という、ただそれだけの事実。これはWeb2.0だろうが3.0だろうが変わらないことだと思います。そしてモノ作りをしている人は「どうすれば話題になるのか」ではな
| 大須は萌えているか? | 2006/07/09 1:57 PM |
[アニメ][ネット]「涼宮ハルヒの憂鬱」がWeb2.0?
なつみかん。 | 涼宮ハルヒがWeb2.0にされる憂鬱 同感。「Web2.0」とか言い出さずに「ネットでの口コミ」と言えば済む話だろう。 それからYouTubeなどによってネット上で話題が広まったアニメならば「MUSASHI -GUN道-」のことを忘れてはいけない。YouTube - MUSASH
| 向こう岸 | 2006/07/09 3:08 PM |